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日本社会で起こっている産業廃棄物の不法投棄問題

長崎県松浦市・佐世保市・平戸市で産業廃棄物の中間処理、一般廃棄物処分、スクラップ・有価物買受業務を行う株式会社UCHIKAWAです。産業廃棄物処理業界で長年培った経験をもとに、日本社会が直面している産業廃棄物の不法投棄問題について詳しく解説いたします。
不法投棄 
近年、廃棄物処理に関する法規制が強化されているにもかかわらず、産業廃棄物の不法投棄は完全には撲滅されていません。この問題は環境保全だけでなく、健全な産業廃棄物処理業界の発展にとっても重要な課題となっています。
 

 

不法投棄の現状と統計データ

産業廃棄物の不法投棄問題は、法規制の強化により件数は減少傾向にあるものの、依然として深刻な社会問題となっています。環境省の最新統計データを基に、現在の状況を詳しく分析していきます。
 

 最新の不法投棄統計

環境省が公表している令和5年度の産業廃棄物不法投棄等の状況調査によると、全国で新規に判明した不法投棄事案は100件、総量4.2万トンとなっています。これは前年度の134件、4.9万トンと比較すると減少傾向にありますが、いまだ撲滅には至っていない状況です。
 

年度
新規判明件数
投棄量(万トン)
大規模事案数
令和5年度
100件
4.2万トン
2件(5,000トン以上)
令和4年度
134件
4.9万トン
3件(5,000トン以上)

「参照:環境省」
 
ピーク時の平成10年代前半と比較すると、不法投棄の新規判明件数は大幅に減少しており、一定の成果が見られます。しかし、年間100件もの悪質な不法投棄が新規に発覚している現実は、産業廃棄物処理業界全体にとって深刻な問題です。
 

 実行者別の分析

不法投棄の実行者を分析すると、排出事業者による不法投棄が最も多く、令和5年度では44件(44%)を占めています。これは本来、適正処理を行うべき事業者自身が不法行為を行っているという深刻な問題を示しています。
 

実行者
件数
割合
排出事業者
44件
44%
無許可業者
17件
17%
許可業者
13件
13%

「参照:公益財団法人産業廃棄物処理事業振興財団」
 
長崎県内においても、適正な産業廃棄物処理の推進が重要な課題となっています。松浦市、佐世保市、平戸市などの地域では、建設業や製造業からの産業廃棄物が多く発生するため、適切な処理体制の構築が求められています。
 

不法投棄される廃棄物の種類と特徴

不法投棄される産業廃棄物の種類を分析すると、建設系廃棄物が大部分を占めていることが明らかになっています。特に、がれき類や建設混合廃棄物の不法投棄が深刻な問題となっています。
 

 建設系廃棄物の問題

令和5年度の統計では、廃棄物の種類別で最も多いのはがれき類で32件(32%)、投棄量でも最も多いのはがれき類で2.0万トン(47%)となっています。建設業界では大量の廃棄物が発生するため、適正な処理ルートの確保と処理コストの問題が不法投棄の背景にあると考えられます。
 

建設系廃棄物の適正処理ポイント
建設現場では、コンクリートがら、アスファルトがら、木くず、石膏ボードなど多種類の廃棄物が発生します。これらを適切に分別し、許可を受けた処理業者に委託することが法的義務となっています。松浦市・佐世保市・平戸市エリアでは、地域特性を理解した処理業者との連携が重要です。

 
長崎県北部地域では、離島や半島部という地理的特性から、廃棄物の運搬コストが高くなる傾向があります。このような地域特性を踏まえ、地域密着型の処理業者による効率的な処理体制の構築が求められています。
 

 地域への影響

不法投棄は、自然環境の豊かな長崎県北部地域にとって特に深刻な問題です。山間部や海岸部への不法投棄は、地下水汚染や海洋汚染のリスクを高め、地域の観光資源や農業・漁業にも悪影響を与える可能性があります。
 

不法投棄による影響
具体的な問題
環境汚染
地下水汚染、土壌汚染、大気汚染
景観破壊
自然景観の損失、観光資源への悪影響
経済的損失
除去費用の発生、地価下落、産業への悪影響
健康被害
有害物質による健康リスクの増大

「参照:環境省」
 
 

 

防止対策と監視体制

産業廃棄物の不法投棄を防止するためには、排出事業者の意識改革、適正な処理業者の選定、そして地域ぐるみの監視体制の構築が重要です。
 

 監視体制の構築

各都道府県では、不法投棄の早期発見・防止のために様々な監視体制を構築しています。専門の監視員による定期パトロール、監視カメラの設置、住民からの通報システムなどが整備されています。
 

通報先情報
産業廃棄物の不法投棄を発見した場合は、都道府県または政令市の保健所に通報してください。長崎県内では、県の環境部局や各市の環境課が窓口となっています。迅速な通報により、被害の拡大を防ぐことができます。

 
長崎県では、県内に優良な産業廃棄物処理業者を育成するため、優良認定制度の普及と認定取得促進に努めています。優良認定業者は通常よりも厳しい基準をクリアしており、信頼できる処理業者として推奨されています。
 

 適正処理の重要性

産業廃棄物の適正処理は、排出事業者の法的義務であると同時に、社会的責任でもあります。マニフェスト制度の適切な運用、信頼できる処理業者との契約、処理状況の確認など、段階的なチェック体制が重要です。
 
松浦市、佐世保市、平戸市などの長崎県北部地域では、地域の特性を理解し、適切な処理ルートを提供できる地域密着型の処理業者との連携が効果的です。地域内での適正処理により、運搬コストの削減と環境負荷の軽減を両立できます。
 

産業廃棄物の不法投棄に対しては、廃棄物処理法により厳しい罰則が設けられています。これらの罰則は、不法投棄の抑制効果を狙ったものですが、同時に適正処理の重要性を示すものでもあります。
 

 廃棄物処理法の罰則

廃棄物処理法第16条では「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と定められており、違反した場合は5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金、またはこの併科が科されます。法人の場合は、罰金の最高額が3億円と更に重い処罰が規定されています。
 

対象
懲役
罰金
個人
5年以下
1,000万円以下
法人
3億円以下

「参照:統計局」
 
これらの厳しい罰則は、不法投棄による環境被害の深刻さを反映したものです。一度汚染された環境を元に戻すためには長い時間と莫大な費用が必要となるため、予防的な措置として重い処罰が設けられています。
 

持続可能な廃棄物処理体制の構築に向けて

産業廃棄物の不法投棄問題は、法規制の強化により改善傾向にありますが、完全な撲滅には至っていません。長崎県北部地域においても、地域特性を踏まえた総合的な対策が必要です。
 
排出事業者による不法投棄が最も多いという現実は、事業者の意識改革と適正処理に関する教育の重要性を示しています。松浦市、佐世保市、平戸市などの地域では、建設業や製造業からの廃棄物が多く発生するため、業界全体での取り組みが求められます。
 
地域密着型の産業廃棄物処理業者は、地域の実情を理解し、適切な処理ルートを提供することで、排出事業者の適正処理を支援する重要な役割を担っています。優良認定制度の活用により、信頼できる処理業者との連携を強化することが、不法投棄防止の有効な手段となります。
 
また、住民や地域社会全体での監視体制の構築も重要です。不法投棄の早期発見・通報により、被害の拡大を防ぎ、環境保全と地域の持続可能な発展を両立できます。
 
産業廃棄物処理業界の健全な発展と環境保全の両立を目指し、法令遵守の徹底、適正処理の推進、地域連携の強化を通じて、不法投棄のない社会の実現に向けて取り組んでいくことが重要です。
 

株式会社UCHIKAWAは長崎県松浦市のスクラップ・産業廃棄物収集業者です|製鋼原料を販売中
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